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こころとからだ

耳管開放症の鍼灸治療

耳管開放症と病院で診断されて鍼灸院(当院)に来られるケースはまれです。最近1年間で当院に来院された耳関係の新患723人のうち耳管機能不全症(耳管開放症と耳管狭窄症)と診断された方は6人だけです。ただし、難聴はなく「耳鳴り」「耳閉感」「自声強聴」「めまい」の症状で来院された方の96人のうち何人かは耳管開放症の可能性もあるかもしれません。当院では難聴の前の前駆症状として対応しています。
ダイエットなどの体重の急減によるものとか、低血圧起因によるものとかの器質的な症状もありますが、大部分はストレスや自律神経失調などの機能的な症状と言われます。機能的な症状には鍼灸治療が適応することが知られています。ストレスや自律神経失調などからくる耳管開放症には鍼灸治療が良く適応します。

耳管とは

耳管とは、鼓膜の奥の空間(鼓室)と鼻とをつなぐ管です。ここを通して、耳と鼻との換気が行われ、鼓膜の奥の空間(鼓室)と鼓膜の外の外気との気圧調整が行われます。成人では約35oから40oの長さで、最も狭い部分は0.4o〜0.8oです。普段は閉じていて、つばや物を飲み込むと開口します。耳管は立位や座位では開きやすく、臥位で開きにくくなります。臥位では耳管の周囲にある静脈に血流が貯留し,耳管を主として前方から圧迫するため耳管が閉鎖しますが、立位になると血液が身体下方に移動するため静脈の血流も減少し、耳管が開きやすくなります。低血圧の方の耳管開放症が多い理由と関係があります。また、耳管の周囲の脂肪も耳管の圧迫要因の1つになりますので、ダイエットなどで急に体重が減り,脂肪が減少すると耳管の圧迫が少なくなり、耳管が開きやすくなります。

耳管開放症とは

耳管開放症とは本来は閉鎖するはずの耳管が開きっぱなしになり、耳閉感や自分の声が響く自声強聴などが気になる症状のことです。首を下に向けたり、体を横にすると症状が軽快します。また、鼻をすすると症状が楽になることがあります。鼻をすすると一時的に耳管開放が軽快するからです。

耳管解放症の原因

器質的な原因
  急激な体重減少によることがあります。ダイエットや肝硬変、心臓疾患、腎臓疾患などの慢性消耗性疾患や胃、大腸など消化管や心臓手術後の体重減少が原因となる場合があります。その場合、耳管周囲の支持組織(特に脂肪組織)の減少により、耳管の圧迫が減少し耳管内腔が開放されやすくなります。また、食生活の欧米化や運動不足により血液粘度の増加や血管壁硬化などにより耳管周囲の血液循環障害も一因となっています。その結果血液のうっ血などによる圧迫で閉じている耳管内腔がうっ血の少なくなることにより開放されやすくなります。
機能的な原因
  耳管開放症の原因はほとんどが機能的なものと言われています。ストレスが過剰に働いて起こることが多いと言われます。自律神経失調も関係があるとも言われます。ストレスの過剰により耳管閉鎖の機能が低下し、血液循環の不良により耳管の圧迫が減少し耳管の開放が起こるとされています。

耳管開放症の症状

  1. 耳症状 (耳閉感 自声強聴 呼吸音聴取 耳鳴り 難聴
  2. めまい
  3. 声の異常(開鼻声)
  4. 肩こり
  5. 頭痛
  6. うつ
耳管開放症では、常に耳管が開いているために、自分自身の声や呼吸音、心臓の音などが開放された耳管を介して大きな音として感じられるようになります(自声強聴)。また、自分自身の呼吸音や心臓の音以外にも鼓膜がペコペコと動く音が聞こえることもあります。耳管開放症では、下を向くことで緩和することも特徴です。下を向くと耳管の周囲に血液が滞ることになり、それに付随して耳管も狭くなり開放感が軽減されることで症状が緩和するようです。
また、耳管開放症では、症状を軽減するために鼻すすりを常に行う方がいますが、鼻すすり癖により中耳の内圧が減少し、滲出性中耳炎などを発症させることもあるので注意が必要とされます。

耳管開放症の検査と診断

普通耳鼻科では聴力検査とティンパノメトリー(外耳の圧力を人為的に変化させて、それに関連した鼓膜の動きを測定する検査)をしますが、ティンパノメトリーでは正常な状態を示します。鼓膜の外と中の圧力が同じということです。また、耳鏡 顕微鏡 耳用の内視鏡によって鼓膜を観察します。耳管機能検査で、嚥下に一致して耳管開大持続時間の延長が認められるかを診ます。
診断は問診と鼓膜の呼吸性動揺や、頭部前屈や座位などへの体位変換による耳症状の改善の有無、耳管機能検査などにより行われます。

耳管開放症の病院での治療

病院の治療には、@保存的治療 A処置的治療 B手術的治療 があります。

@ 保存的治療
  耳管開放症では、低血圧症、精神的な苦痛や肉体的なストレス、急激な体重減少の既往との関連がありますので、その原因の除去ないしは改善の生活指導が行われるようです。水分のこまめな摂取、適度な運動、必要な睡眠、仕事の疲れの対策などが指導されるようです。
薬物治療としては、点鼻薬や耳管周囲の血流を増やす目的で漢方薬やATP(アデノシン3リン酸)などが処方されます。
A 処置的治療
  保存的治療で改善が見られないようであれば、処置的治療が行われる場合があります。 開きっぱなしになっている耳管粘膜を意図的に腫脹させ閉鎖させるという処置で、ルゴールジェル耳管注入療法などがあります。
B 手術的治療
  処置的治療でも改善が見られない重症例では手術で対応することもあります。 鼓膜側から、耳管内へシリコン製の薄くて前後方向に長い耳管ピンを挿入する耳管ピン手術や重症例に人工耳管挿入手術もあるようです。

耳管開放症の鍼灸治療(一掌堂治療院方式)

耳管開放症に多い機能性の耳管開放症には鍼灸治療が良く適応します。
耳管周囲の血液循環の改善を目指して、さらに、ストレスや疲れを軽減するために鍼灸治療を行います。治療法は突発性難聴の治療法に準じます。
それに並行して、ストレス軽減や、自律神経の調節を目的に自律神経調整法もとり入れます。
鍼灸治療と並行して生活の指導も行います。
病院でも同じように生活の指導を行われているようですが、一掌堂治療院では具体的な内容も指導しております。

アクアウオーキング療法 
耳管開放症の生活指導でポイントとなるのはこまめな水分摂取と毎日の十分な運動とされています。1週間に1〜2日ジムに行って運動するよりは、毎日適度な運動がお勧めです。そのために、毎日できる運動としてお仕事後のウオーキングをお勧めします。お仕事後2〜3駅の間を歩いて電車に乗るようにすると自然十分な運動ができます。水は毎日1〜2リットルこまめに飲みましょう。詳しくは「アクアウオーキング療法」をご参照ください。

 

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